名状しがたい日記のようなもの

適当なことを適当に書く感じのあれです(愚痴多め)

ままならない記憶

テレビで何かの再放送が流れていて、

へー、こんなんやってんだ、

これ何年前のやつなんだろうなぁ、

なんて見ているような見ていないような、

そんな中途半端な状態にある時。

たった一つの台詞が急に頭を占める時がある。

 

え?あれ、なんかこれ、聞いたことある。

え?私、これ観たっけ?

いや観てないと思うけど、でも、

めちゃくちゃ聞き覚えがある。

まるで小説の一部のようにありありと、

その台詞が脳内で再生される。

私の記憶の中の声と、テレビから流れる声が、

重なって二重奏のように聴こえてくる。

その部分だけは映像にも見覚えがある。

だけど、その前後は全く心当たりがない。

 

デジャブ、なんだろうか。

既視感。

そういうやつ。

でも、あまりにもしっかりしすぎている。

まるで、本当は観たことがあるのに、

その台詞以外全部忘れてしまったかのような。

そう考えるとぞっとする。

それが、ただ単に覚えていないだけなのか、

それとも何か病的なものなのかわからないから。

だからぞくっとするんだと思っているけれど、

本当のところはどうなのかはわからない。

 

私は生まれつき記憶があやふやなところがあって、

家族が当たり前に覚えていることも、

私の頭の中には影も形もないことがあった。

人ひとり忘れて、全く思い出せなくて、

傷つけてしまったこともあった。

 

私が忘れていることは私が忘れたいことではない。

何気ない日常みたいなものも含まれている。

小さい頃のことも、成長してからのことも。

なぜ覚えていないのか、

一体私は何をどれだけ忘れているのか、

わからない。

 

不眠で、自殺未遂をして、

ちょっと私おかしいのかなって思って、

っていうかおかしいってわかってたけど、

割とまずいかもしれないと思って行った精神科で、

適応障害による仮性認知症だと言われた。

知識もなかったから、そうか、とだけ思った。

けれどそれから3年が経過しても、

不眠も治らないし精神的にも不安定だし、

記憶もあやふやなまま。

別のことで訪れた、普段とは違う精神科で、

だめ元で聞いたら、それは仮性認知症というより、

解離性健忘なのではないか、と言われた。

私は知識もないので、また、そうか、と思った。

 

家に帰ってきてから、解離性障害だとか、

解離性健忘を検索してみた。

私は私ではないように見えることが、

たまにあると同居人に聞いていたから。

だけど、いまいちぴんと来なかった。

発端となったストレスがわからない。

だって、ストレスなんて溢れてた。

これでもかってくらい沢山あった。

ストレスが原因で何か忘れるって、

もっと嫌なことを忘れるんじゃないの?

それが何度も繰り返し起こるなんてことあるの?

そう、思ってしまった。

 

何を忘れたかわからない以上、

忘れたことがどれだけの量あって、

それがどんな事柄なのかわからないけれど、

もしドラマを観たけど台詞ひとつ以外全て忘れた、

みたいな馬鹿みたいなものばかりだったら、

一体それってなんなんだろうって思う。

ストレスが原因で忘れたはずなのに、

そのストレスの原因は忘れなくて、

どうでもいいことばっかり忘れてるとしたら、

やるせないというか、正直許せない。

 

どうせ忘れるなら嫌なことを忘れたい。

嫌なことも忘れたのかもしれないけど、

それでも私の記憶に嫌なことはたくさん残ってる。

なんでその一つでも多く、ううん、

全てを道連れにして忘れなかったんだろう。

そう思わずにはいられない。

 

あー、なんか、なんか不意打ちだな。

たまに、こういうことあるんだよな。

何気なくついていたテレビから、

急に聞いたことがある台詞が飛び出してくる。

驚いて目を向けると、確かに観た気がする。

でも、それはたった数秒から数十秒で、

その前後は全くわからない。

そんなことが何度かあった。

テレビだから再放送があって、

だからその台詞数十秒だけが思い出せたのかも。

じゃあ実際に体験したことは、

再放送なんてないから思い出せないのかも。

どんどんわからなくなってくる。

そもそも、普通に忘れたことと、

何か原因があって忘れたことを、

どうやって区別するんだろう。

わからない。

 

なんなんだろう。

嫌だな。