漫画とうつと僕の心の話
こんばんは。
適当に書いていきます。
好きな漫画家さんがいます。
江野朱美さんという方で、出会いは亜獣譚でした。
その後たびしカワラん‼︎を読んで、
美少年ネスは入手できなくてまだ読めてなくて、
今はアフターゴッドの最新話を追ってます。
その江野朱美さんが、溺英恵という別名義で、
『売れっ子漫画家×うつ漫画家』という、
創作BL漫画が読めるサイトを、
数日前に開設したんです。
僕は江野さんというべきが溺さんというべきか、
とにかく彼の人の絵柄も雰囲気も語彙力も、
世界観も何もかもが好きなんです。
どうせ寝れないなら好きなものを摂取しよう、
と読み始めたんですが。
さすがですね。
ざっとあらすじ書くと、タイトル通りで、
うつ病で漫画が描けなくなって、
アルコール中毒で酒と薬くらいしか飲んでなくて、
ゴミ塗れのアパートでほぼ死ぬ寸前の元漫画家が、
めちゃくちゃ売れてる漫画家にファンだと言われ、
現状を知られ、何故か同居することになる。
売れっ子は何も求めてこないし、
病んでも呑んでも何も咎めないけれど、
その同居生活はうつ病元漫画家からすると、
人間の生活とは呼べなくて…っていう。
なんていうのかな、
常日頃から自分が思ってることが、
心の中を形をとらずに渦巻いて苛むものが、
うつ病元漫画家の言葉や病状、
その他の描写を借りて、
言語化されてイラスト化された気分になりました。
勝手にね。
特に、病気は一言では言い表せない。
人は今ある病気にしかなれない。
精神系の病名と分類名はコロコロ変わるから、
未来ではもっと細分化されて新しい名前がついて、
その未来では別の病名で呼ばれるかも、とか。
この病名に分類されているから、
この病名でしか自分の説明ができない、とか。
今あるどんな薬も効かない人、
完全に当てはまる病名がないから、
何かと何かの複合型と呼ばれるしかない人、
原因不明病名不明としか言われない人は、
他に名前がないからそこに留まるしかない、とか。
病気も障害も病院に行けてた人の、
行けてた間のデータでしかない。
同じ病気でも一時的なもので終わった人や、
自力で治した人や放置したままの人、
病院に行けず死んだ人のデータは入ってない。
何億人に病状を聞いたって人それぞれ、
誰にでも適合する治し方なんてない。
全てのウイルスに効く、
たった一つの薬がないように。
って感じの場面がすごく好きです。
だいぶ要約してますけど。
僕は精神が不安定で、不眠症で、
精神科にほぼ月一のペースで通ってるんですが。
僕には病名がないんですよ。
うつの症状もあるけれど、躁うつの気配もある。
だけどそれは発達障害によるものかもしれないし、
そうじゃないかもしれないから名前がつかない。
何もなくともひどく落ち込んで、
眠れないで夜を明かしたり、
急に何もかもわからなくなって涙が出たり、
買い物に行っても途中で調子が悪くなって、
何を買えばいいかわからなくなったり、
なんの理由もなく心を病んで、
耐えられなくなって自傷したりしても、
僕には病名がつかない。
だから僕は僕がおかしいことがわかっていても、
他人にそれを説明できない。
名前がないから。
僕は仮面を被るのがそこそこ得意で、
直前まで家で死ぬほど落ち込んでても、
病院に向かって歩く間にスイッチを切り替えて、
わりと普通に見えるように振る舞えてしまうから、
余計に名前がつかないのかもしれないけれど。
名前がない、っていうのはなかなかに不安で。
うつにしろ、躁うつにしろ、統合失調症にしろ、
名前がつくっていうのは僕にとって免罪符で。
逆に言うと名前がつかないと人に説明できないし、
自分でも納得できない。
僕が生まれつき頭がおかしいだけなのかもとか、
僕のこれはただの甘えでしかないのかもとか、
どうしても考えてしまう。
僕は精神がひどく不安定になって、
精神科にすら行けなくなった時期があって。
それこそ家の外が怖くて、
外に出られないどころか、
外から聞こえてくる音にすら怯えて。
今はなんとか通院できてるし、
前よりは外出も怖くなくなったけど。
それでも怖くなる時はある。
夢に見る夜もある。
こんな僕だからこそ、
名前がないからそこに留まるしかない、とか、
病気も障害も病院に行けてた人の、
行けてた間のデータでしかない、とか、
そういう言葉に、救われた気がしたんです。
完璧ではないけれど免罪符をもらえたような。
僕は登場人物のうつ病漫画家こと矢晴ほど、
ひどくないと思ってるし実際そうだろうけど、
それでも自分が価値のない人間に感じたり、
自分のできないことがすごく惨めに思えたり、
自分がおかしくなっていくのを感じたりするのは、
僕でもわかる。
BL要素を抜きにしても、恐ろしい作品だと思う。
心理描写が、身体を巣喰う虫が、
自分を取り巻く繭が、わかるから恐ろしい。
亜獣譚も、たびしカワラん‼︎も、
アフターゴッドも素晴らしい。
だけどこれはそれ以上に素晴らしくて恐ろしい。
自分の中の理性と狂気が曖昧になっていく様が、
わかる人にしかわからないのかもしれないけど、
ありありと描かれている。
心の中に抱えた何かの卵。
それが孵化して体内に巣食って、
成長していって身体を破って出てくる。
まるで僕の悪癖を描いたみたいで、
すごく刺さるし、
どこまでこの人は他人の心がわかるのだろう、
想像でこんなものが描けるのだろうか、
一体どんな体験をしてきて、
どんな人なのか、読めば読むほどわからなくなる。
単行本化、してほしい。
すごく好き。
ただ読むだけじゃなくて手元に、
形に残る形で持っていたい。
次回更新が楽しみです。
アフターゴッドの4巻も楽しみだけど。
人は誰しも心に闇を抱えている。
理性はいつも狂気と隣り合わせにあって、
理性は狂気なしには成り立たず、
狂気も理性なしには成り立たない。
フーコーだったかな。
僕はこの考えが好きなんだけど、
この漫画では理性と狂気が混ざり合っていて、
もっとぐちゃぐちゃどろどろしてるところが、
よりリアルに感じるし、個人的に好き。
薬を飲めばマイナス100がマイナス20になる、
だけどそれでいいわけじゃないし、
マイナス20でいられる時間も少ない。
ってところもすごくいい。
僕は薬飲んでも飲まなくても、
大体マイナス20くらいのところにいて、
時折マイナス100になったり、
気合を入れてプラス20くらいになるように、
なんとか頑張ってみたりだとか、
制御できなくてプラス200になって、
後々マイナス300くらいになったりする。
売れっ子漫画家こと純が矢晴を考えて、
数字でこうして表したから、
僕も自分を数字で表すことができた。
決して明るさに溢れた話ではないけれど、
人の闇も存分に詰まっているけれど、
それでも素晴らしくて恐ろしい作品だと思う。
ぜひたくさんの人に読んでほしいし、
単行本化もしてほしい。
思えばアフターゴッド一巻の頃から、
それとなく書いてはいても、
こうしてがっつり感想を書くのは、
はじめてのことかもしれない。
それだけ衝撃が大きかった。
そんな感じでした。
みんなもっと江野朱美さん、
溺英恵さんに注目してくれ。
素晴らしい方だぞ。
では。