名状しがたい日記のようなもの

適当なことを適当に書く感じのあれです(愚痴多め)

見解、方向性の違いはつらい

こんばんは。

適当に書いていきます。

 

いつも通りの平日。

何にも変わらない、かと言われれば少しだけ違うけれど、それは本当に少しのことで。

 

六月に入ってしばらくしてから、『頑張ったってどうせ誰も見てくれていない』『こんな頑張り求められてない』『もう一人で頑張って訴え続けるのは疲れた』『もう頑張らなくてもいいんじゃないか』『自分だけが頑張ったって何も報われない』って感じていた。

実際、限られた時間の中でクオリティを高くしていけるよう、全体での技術向上を図るべきだと、それが無理なら製品を傷つけないよう役割分担するのも大切ではないかと訴えても、「オーバークオリティ」として、論点をすり替えられて無かったことにされてしまっていた。

だけど、リーダーが出てきてくれるようになって、少しだけ変わった。

その少しが、僕には大きかった。

 

リーダーは技術力やコミュニケーション能力も高いけれど、状況把握能力にとても長けている人で、休み明けでも出てきてすぐに今どういう状況なのか、何を優先すべきか、誰が何をやっていて何ができていないかをすぐ把握して、いい方向に進めるようサポートしてくれる。

優しくて、気配り上手で、確かな技術力を持っていて、それを惜しげもなく教えてくれて、困った時は「大丈夫大丈夫、慌てんなよ、任せろ」と冗談めかしてなんとかしてくれる。

本当に尊敬の念しかない。

 

六月に入って環境が変わって、先輩方がごっそり抜けて、入って三ヶ月ちょいの僕でも明らかにわかるくらい、製品の質が落ちた。

明らかなバリ、角浮き、加熱しすぎで気泡が入ってそのままのもの、バリを取ろうと必死になりすぎて製品に傷がついてしまっているもの。

そういうものが、検品や最終検品の段階で、普通に、大量に見つかる。

五月まではそんなことはあり得なかったし、そんなことがあれば職員の方から作業した人に注意がいったり、重点的に練習してもらったり、逆にもうその作業は他の人にしてもらったりしていた。

僕は五月までその環境で育ててもらっていたから、それが当然だと思っていたし、だからこそ職員の方に訴えたのだ。

だけど「許容範囲内じゃない?」とか「まぁそれはその人の課題だからね、基本的に他の人がやっちゃったらその人の技術が改善しないから」とか「今のところクレームは来てないので」とか、挙げ句の果てには「オーバークオリティ」とまで言われて相手にしてもらえない。

もう諦めようと思っていた。

 

心が折れる寸前だった。

体調を崩していたリーダーが戻ってきてくれた。

休み明けでも瞬時に状況を把握して、一人一人が不得手ではない仕事を割り振って。

何よりリーダー自身がすごいスピードで製品を作っていく。

かっけえなぁ、でもなあ、今は前と違っちゃってるからなぁ、と思っていた。

だけど、リーダーの考えは変わっていなかった。

僕があんまり良くないな、でもこれ職員さんに見せたら許容範囲って言われるのかな、って思うものをリーダーに見てもらうと、しっかり見て、図面と照らし合わせて、「これは誤差の範囲内じゃないし、修正できないから作り直そうか」って言ってくれる。

綺麗に作り直せれば、それだけで嬉しい。

バリが酷いものや、本来ついてはいけないところに切り傷がついてしまっているものも、職員さんに訴えても理解してもらえないけれど、リーダーは「これはどうしてこうなっちゃったかわかんないけど、修正できないし、直そうか」って言ってくれる。

それが、嬉しい。

 

正直無理矢理にでも修正して、誤差の範囲を出ても無視したりした方が楽なんだとは思う。

職員さんはそういう姿勢だから。

だけど、製品として、仕事として取り組む以上はきちんと綺麗なものを作るべきだと僕は思う。

もちろん納期を守ることは大前提だけれど、人を減らしたのは僕らではなく職員さんたちの判断だし、今までと同じペースで同じ量が送られてきたら納期ギリギリになったり間に合わなくなるのは正直当たり前のことだと思う。

そもそも職員さんで作業ができる人がほぼいないのだから、そこはもう少し考えて欲しかった。

過ぎたことは仕方ないけれど、だからと言ってそれが製品のクオリティを下げていいことにはならないと僕は思う。

クレームが来てないから大丈夫、ではなくて、そもそもクレームが来ない製品を作るべきだと思うから。

 

その一心で、心が折れかけた状態でも訴えた。

本来切るべきである線と並行に、一部分だけ傷があるのはおかしい、それを修正しようとするとメッキが酷く剥がれていることもあるから、相当な回数その場所に刃を当てているはずだ、やり直してゴムを被せて隠して仕舞えばいいというものではないと思う、と。

その状態を何度も詳しく説明して、職員さんが「それは、なんでそうなっちゃうかわかんないけどよくないね、明日の朝にでも作業前に全体で話しようか」って言ってくれた時、やっとわかってもらえた!と思った。

でも、やっぱり違った。

 

朝、作業の前に同じ作業を担当する人たちを集めて、話があった。

本来切るべきところはきちんと切れているのに、その近く、切ってはいけないところに切り傷があるのは良くないということをまず伝えてくれた。

なんでそこに傷がつくのかわからないけれど、もし試し切りがしたいなら練習用のものでやってくれ、と。

そこまでは僕が訴えたことでもあるので、うんうんと思いながら聞いていた。

それから、バリが多いことやメッキが剥がれてしまうほどの切り傷の話もしてくれた。

何度も何度も切らないように、できるだけ一回で綺麗に切るように、バリが出てしまった時力任せに取ろうとするのではなくて、できる限り少ない回数で傷をつけないことを意識して取るように、と。

ここまでは良かった。

ここから先が見解の相違だった。

職員さんは言った。

刃先がぶれてしまうことはあると思う。

だけど、切るべき線の外側に傷がついてしまうとそれは消せないから、もしぶれてしまうとしても切るべき線の内側にして欲しいと。

僕は愕然とした。

あ、全然わかってくれてない、と思った。

 

内側であろうと切れてしまっていたら、それは修正しなければならないし、修正すれば最初に切った時の傷はどうしても見えてしまう。

修正できないほど内側まで切れてしまっていれば、それはもう最初からやり直すしかない。

前者でも綺麗な仕上がりにはならないし、後者は一見綺麗な仕上がりに見えてもやり直すのに時間と手間がかかる。

そのどちらも減らすために今回の話があると思ったのに、その伝え方ではどちらも減らない。

結局製品にはあるべきでないところに切り傷があったり、やり直しのために時間を割かれて余裕がなくなってしまう。

 

僕が半ば茫然自失としている時に、リーダーに話が振られた。

リーダーは静かな声でゆっくりと話し始めた。

「皆さん六月に入って環境が変わって、戸惑うこともあると思います。だけど、今一度僕たちが作っているのは『製品』なんだということを意識して欲しいです。その意識を大切にして、一人一人作業に取り組んで欲しいです」とか、そういったことを言っていたと思う。

僕はその、静かで穏やかな口調で語られた言葉に、全てが込められていると思った。

自分が扱っているのは製品だという意識、という言葉に、もっと真剣に、丁寧に、綺麗なものを作っていこう、作れるようになろう、という目標を勝手に感じた。

 

僕はまだ入って四ヶ月目で、ひよっこのペーペーだけれど、誰にでも得て不得手があるように、僕は切るべきところを切る、という作業が今いるメンバーの中では上手い、と自負している。

六月に入ってからは、バリの酷いものが増えたのでバリ取りの技術も誤魔化しの技術もかなり上達した。

他の作業に関してはまだまだだけれど、そこだけはかなり上達したのではないかと思っている。

だからこそ、ひよっこのペーペーの僕でも取れるようなバリがそのままになっている状態が異常だと思うし、可能な限りは取って、修正して、誤魔化してきた。

オーバークオリティだ、と言われてしまったけれど。

 

だけどこの間リーダーと職員さんが話しているのが聞こえてきて、「綺麗な製品を作ろうと、傷がつかないように綺麗にバリを取ってくれている〇〇()さんみたいな向上心がある人に、クレームが来てないからバリ取りはしなくていいっていうのは違うと思うし、かといって誰かが作ったものだけすごく綺麗、みたいなクオリティのばらつきがあるのも良くないから、全員で技術向上を目指すべきだと思う」とリーダーが言っていたのが聞こえて。

ああ、リーダーの中では僕は向上心がある人として見てもらえているんだ、綺麗に取れていると思ってくれているんだ、と思ったら、嬉しかった。

職員さんには響いていないようだったけれど。

 

心が折れそうというかミシミシ不穏な音がして、いつメキッとかバキッとかいって割れて砕けてしまうかわからないけれど、それでも。

誰か一人でも、自分と似た考え方をしてくれる人がいて、自分の頑張りを見てくれている人がいると思うと、それだけで少し楽になる。

 

ギリギリだけど、なんとか頑張っていこう。

それでもだめなら、しばらくしたら申し訳ないけど辞めよう、と思っている、今日この頃でした。

では。